観自在菩薩は、別名観世音菩薩ともいい、観音様の名で親しまれています。

仏教では慈悲をつかさどります。
さまざまな現世利益をかなえてくれるというので、もっとも信仰を集める菩薩です。

観自在とは、「自在に(世間の様相を)観察するもの」という意味です。
別名の観世音は「(世間の音を)観察するもの」を意味します。

この2つの名称はどちらかが正しいというのではなく、古代インドの文献でも両方とも使われています。

いずれにしましても、「法華経」の「普門品」に説かれているように、煩悩する者が観世音菩薩に助けを求める声をあげれば、その声をたちどころに観じて苦悩から救い出す役割を担っています。
菩薩は菩提薩埵の省略形で、悟りを求めて修行中のものを指します。
悟りを開いた如来より位は下ですが、それだけに人々に近づきやすい関係にあります。

観自在菩薩のルーツは、これほど有名な存在にもかかわらずいまだによく分かっていません。
一説には、西アジアの女神が起源で、仏教に取り入れられたのではと言われています。
ただし、仏教界では観世音菩薩は男性と考えられています。

人気のある観自在菩薩はいろいろな仏典に登場しますが、「般若経」に登場するのは極めてめずらしく、「般若心経」は例外です。