■写経墨に適した条件

一般的に写経用の墨として売られているのは、上質で粘りの少ないニカワを使っています。
写経は濃い墨を必要としますから、濃くしても粘らないものを選ぶことをおすすめいたします。

細字のかな用墨も濃くて粘りがあまりでないものを使ったらよいと思います。

長い時間をかけて寝かせた古墨もこの条件の墨が得られますが、非常に値段が高いのであまりおすすめ出来ません。
墨は安いもので500円くらいからあり、質も適当です。
無理に高価な墨からはじめず、お求めやすいものから試して問題ないと思います。

■写経墨に適した種類

次に墨の種類で比較してみましょう。
墨は大きく分けて油煙墨と松煙墨があります。
書いたときの特徴は油煙墨はギラギラしたテカリが出ます。
松煙墨は沈んだような艶のない黒になります。

昔は松煙墨や古墨にこだわって写経される方がおられましたが、現在はそれほどこだわる必要はないと思います。
経済的な点も含めて油煙墨で充分です。

■日本の墨と中国の墨

日本製の墨を和墨と言い、中国製の墨を唐墨と言います。
唐墨は稀に粘りの強いものが混じっていますので避けた方がよいかもしれません。和墨の方が当たり外れなく安心して購入できます。
写経墨と書いて販売されている墨はほとんど日本のメーカーによるものです。